
ハイリー・センシティブ・パーソンという心理学用語がある。
感受性が豊かで敏感な人のことを言う。
今までお目にかかった人の中でこの特性を持った人が何人かいらっしゃった。
その中の一人が思い出されてならない。
その方はまるで空気清浄機のようにネガティブな感情などを吸いこんでしまっていた。
うつ病を発症したこともあった。
不調を繰り替えし、出社できなくなることも何度もあったが、
そのたびにお目にかかって世間話をした。
おとなしくて、自分からあれこれ話す方ではなかった。
その方が重い病気であると判明した。
それでも、世間話を続けた。
余命が告げられたころ、
その方の上司から「上野さんと話すことが生きがいなんです」と言っていたよと
教えてもらった。
その方が亡くなる2週間前まで電話で世間話を続けた。
その方は最後の電話で
「僕は今、体がしんどいので話すのが難しい。
でも、必ず元気になって連絡するから、それまで待っていてください」
と私に言ってくれた。
それよりももっと以前に
「上野さんが使うエネルギーの量は大き過ぎる。
上野さんが倒れてしまわないか心配になる。
僕のためにそんなにエネルギーを使わなくてもいいんだよ」
と配慮の言葉をかけてくれた。
12月はその方の誕生月。
生きていれば61歳。
たまにその方の声が聞こえたような気になる。
「上野さん、僕は大丈夫ですよ」
って。
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